「頼れる人だったんだ。櫻井さん」
「そりゃもう!! うちのエースだよ。部下からも上司からも信頼があつかったし、移動になるって聞いた時は軽くパニックだったよ」
その時の事を思い出してか、苦笑いを浮かべた梨恵。
その姿を見て、本当に頼りにされていたんだなと思う。
「密かなファンも多くてね、移動になるって決まってからは、毎日告白されてたんじゃない?」
「えぇ!?」
毎日告白!?
ファン!?
あんたら仕事場で何してんだ。
「まぁ結局みんな敗退したみたいだけどね。分かってた事なのにね~、櫻井さん恋愛には全く興味なさそうだから」
興味ない。
うん。なんとなく分かるかも。
あの人に興味があるとすれば、仕事だろうな。
というか隙がない。
誰かを受け入れる隙間を作ってない。
他人を信用していない、というわけじゃないけど、どこかしら壁を作っているように感じる。



