「わぁっ」
上を見上げたその先には、見た事が無い程の満天の星が広がっていた。
沢山の星々が、所狭しと夜空に散らばっている。
まるで宝石のように、キラキラと輝いて。
「す……すごいっ」
「ここは標高も高いし、周りに明かりもないから星が綺麗に見えるんだ」
そう言って、私を片腕に抱きしめたまま一緒に夜空を見上げる櫻井さん。
その肩に私も埋もれながら、星空を見つめる。
凄い。
こんな星空初めて見た。
星１つ１つが大きくて、白い靄みたいなものが帯の様に広がっている。
幼い時に見た、プラネタリウムみたいだ。
「いつもは一人で、たまにここに来てたんだ」
しばらくして、ゆっくりとそう話し出した櫻井さん。
そんな夜空を見上げたままの彼を、そっと見つめる。
「今まで誰かと一緒に見ようなんて思わなかったし、考えもしなかった。１人のほうが楽だったから」
その言葉に、小さく頷く。
私と同じだと思って。
今まで私の世界の中は、私１人だけだった。
誰かと共感しようとか、一緒にいたいとか、そんな感情見えなくしていた。
辛いだけだから。
