◇◇◇ 「おはよう」 「……おはようございます」 時間通り、待ち合わせていた駅で落ち合う。 今日も嫌みなくスーツを爽やかに着こなしている、櫻井さん。 清楚。 その言葉が似合う。 職業柄、これぐらいクリーンな感じの方がいいのかもしれないけど。 「いくか」 その言葉を合図にホームへと向かう。 どうか、何も起こりませんように、と願いながら。 隣りの席から、カタカタとキーボードを打ち込む音が聞こえる。 窓から差し込む温かい光を受けて半分夢の中にいた私は、ぼんやりと目を開けた。