「うわぁ、出たっ!」
「人を化け物みたいに言うな」
思わず叫んだ私を見て、櫻井さんが不機嫌そうに眉間に皺を寄せた。
そして、目を細めて私を睨みつけた後、煙を真っ暗な空に向けて吐き出した。
ここでの遭遇は2回目。
幸いな事に、今日はスッピンではない。
けど。
「酒臭い」
素っ気無くそう言われて、ちょうどポケットに入っていたガムを慌てて口の中に放り込んだ。
スッピンの次は酒臭いって、私、女として終わっている気がする。
本当、この人には自分の格好悪い部分しか見られていないなと思って肩を落とす。
内心溜息を吐きながら、隣のベランダに体を預ける櫻井さんを盗み見る。
既に部屋着に着替えた彼は、完璧オフモードの様子で美味しそうに煙草を吸っていた。
さっきまで美咲や日向と櫻井さんの話をしていたのに、今隣に当事者がいるって何か変な感じ。
「今日美咲と日向と飲んでたんです」
「へぇ~」
モグモグとガムを噛みながら、空に煙を吐き出した櫻井さんにそう言う。
だけど、返ってきたのは興味のなさそうな返事。
こちらを見る事もなく、ぼんやりと空を見つめている。



