キスの意味を知った日


導かれるように、彼の腕の中で眠る子供をぼんやりと見つめる。

幸せそうに眠る天使。

私が欲しかった、彼との子。

私が手にするはずだった未来。

幸せの――日々。


子供を抱っこしたまま、私をじっと見つめている彼。

その視線を感じて、私も視線を上げる。

あの日のままだと思った。

あの日のまま、変わらない。

ちっとも、変わっていない。


変わってしまったのは、なんなんだろう――…。



「――…久しぶり、瑠香」


懐かしい声も、今ではナイフの様に私の胸を刺す。

途端に息が詰まる。


怒り。

悲しみ。

虚しさ。

憤り。


いろんな感情が、胸の中を覆う。

訳が分からなくなって、目の前が真っ暗になる。



――これは私への罰なんだろうか。