「で、さっきは王子と何喋ってたのよ?」
体育館に向かいながら梨花ちゃんが聞いてくる。
梨花ちゃんには隠し事なんて出来ないし、別にたいしたことでもないんだけど……さっき合ったことを全部話してみる。
「それで放課後待ってろって…何言われるのか考えただけでも恐ろしいよ……!」
「あんたは天然な上に鈍感だからね〜。王子に同情するわ」
「なんで千隼くんに同情?!梨花ちゃん私の心配もしてよっ」
「はいはい、心配〜」
「なんか今、胸にグサッと刺さったよ?」
私は別に天然でも鈍感でもないのに、梨花ちゃんまで千隼くんと同じこと言うし!
梨花ちゃんは味方だと思ってたのにーっ!
「ねぇ、王子とは幼なじみなわけでしょ?」
「うん?そうだけど…」
「優芽はさ、あんなかっこいい幼なじみを異性として意識したことはないの?」
「異性として意識っ?!確かに千隼くんは男の子だけど…」
「そーじゃなくて!好きにならないのって意味!!」
「えぇぇっ?!好き!?」
好きにならないのって千隼くんのことを!?
いわゆる、恋しないのかってことだよね!?
千隼くんを好きに……?!
「ないないない!そんなのありえないよ!!第一、千隼くんはモテるし…私はただの幼なじみで……いつもからかわれてるだけだもん。千隼くんを好きとかそうゆうのは…」
「でも、王子はわかんないわよ?」
「それってどうゆう…」
「王子は優芽のことただの幼なじみとは思ってないかもよってこと」
「ない!それはもっとない!」
「なんでそう言いきれるのよ」
「私なんか地味だし!可愛くもないし…千隼くんが私を好きになることなんてきっと…絶対ないよ」
「………」
千隼くんが私を好きになることなんて絶対にない。
かっこよくてモテる千隼くんと地味で冴えない普通な私が釣り合うはずもないもん。
確かに、千隼くんが幼なじみで大変なことはたくさんあるけど……異性として意識かぁ…。
考えたことなかったかも。
「優芽」
「ん?何?」
「素直にならなきゃダメよ?あんたは気づいてないみたいだけど…」
「??」
素直になるってどうゆう意味??
立ち止まって考えてみるけどもちろんわからない。
まぁ、あとで梨花ちゃんに聞けばいっか。
先を歩く梨花ちゃんが早くと言うように振り向く。
それより、校長先生のながーいっ話を覚悟しなきゃだ!
