……まさか隣が千隼くんだったなんて…!
なぜか不機嫌な千隼くんに冷や汗すら出てくる。
怒ってる理由さえ分かれば問題ないのに!
「…千隼くん?」
「………」
勇気を振り絞って話しかけて見たものの、無反応で返される。
お願いだから早くHR終わってーっ!!
この空気に耐えられないよ〜!
スカートを握りしめて耐えていると正面を見たまま千隼くんが口を開く。
「相良と随分仲がいいんだな」
「え?相良くん?」
“随分”をとくに強調して言う千隼くんに首を傾げる。
仲いいって言うのかな?
前にあいさつ交わしたことはあるくらいで、話したのってたぶん今日が初めてなんだけど。
「相良くんとは今日初めて話したから…仲いいとかそうゆうのじゃないけど?」
「幼なじみが俺で大変なんだって?」
「それは!えっと、千隼くんモテるし…その…」
「はっきり言えよ」
「千隼くんはいつも女の子に囲まれるから……ごめんっ本当はよくわかんない!」
「は?わかんねーのかよ」
だって本当にわかんないんだもん!
尻餅ついちゃうから大変って言うのもなんか変でしょ?
あれ?別におかしくない?
「強いて言えば、いつも押し負けて尻餅つくから……かな?」
「…疑問系かよ。はぁー…お前ってほんとわかってねーよな」
「え?うん、わかんない!」
答える私に千隼くんはさっきよりも深いため息をついた。
わかってないって何が大変かってことじゃないの?
違ったのかな?
不思議に思い千隼くんの顔を見ているとおでこを叩かれる。
「痛っちょっと、何も叩かなくても…」
「間抜けな顔でこっち見てるからだろ。天然優芽ちゃん」
「はぃ?天然って何が?」
「そうゆうのを天然て言うんだよ」
呆れた顔の千隼くんに本気でわからない私。
天然って何??
いわいるバカってこと?
いや、確かに頭はよくないけど…バカはひどいよ!
「バカはバカだから諦めろ」
「なっ…」
「すぐ顔に出るから何考えてるかバレバレだぞ」
「〜〜〜っ…」
間違ってないから何も言えませんっ!
私そんなに分かりやすいかな!?
