「で!どうするんだ?」
「ど、どうするも何も……」
婚約って時点でおかしいけど、2人で暮らすなんて……。
それも千隼くんと!
やっていけるはずないよ…!!
「婚約、してやってもいいけど?」
「………ってえッ!?ちょ…千隼くん!?」
「じゃあ決まりだな!」
「明日は土曜だから、学校は休みよね?私達明日の夕方には日本を発つ予定だから、それまでに引っ越ししなきゃね!」
「今日中に服だけまとめなさい!他の家具は用意してるから」
ちょちょちょっ待って!!
話がどんどん進んでいってるんだけど!?
千隼くん…正気?!
「ね、ねぇ千隼くん!!」
「ん?」
「…冗談だよね?婚約なんて……」
「俺じゃ不満だと?」
「そうゆうことじゃなくて!…婚約だよ?私達幼なじみなのに……第一婚約って生涯一緒にいたい人とするものじゃ…」
「親父達の気まぐれなんて今さらだろ?どうせ深く考えてない。たぶん2人で暮らさせる口実だ」
引っ越し業者に連絡をとり、ニューヨークに行くことを楽しそうに話ながらご飯を食べるお父さん達を千隼くんは見つめる。
そうなんだけど……
そうなんだろうけど!
「でも、仮にも婚約するんだよ?」
「何が言いたい」
「婚約って…結婚の約束だよ?その…私なんかでいいんでしょうか?」
聞くのがちょっと怖いけど…
やっぱり気になるし……。
「お前、結婚する以前に相手が現れるかが問題だもんな」
「んなっ!!どうせ彼氏なんていたことないもん!モッテモテの千隼くんには私の気持ちなんかわかんないっ」
「あぁ、わかんね」
「〜〜〜〜…っ」
なんか悔しい!!
事実だけに何も言い返せないことが余計に悔しいッ!!
