「何、お前女子に告られてんの?」
「違っ……これは、その…っ」
モヤモヤするけど……渡さないわけにもいかないよね。
だけど…ちょっとだけ思ってしまった。
「……これ、さっきの子が……千隼くんにって」
渡したくないって。
何も言わずに千隼くんはラブレターを受け取ってしまう。
なんでだろう…手紙を渡した途端、モヤモヤはますます大きくなって……胸がいたくて…泣きそうになる。
これも梨花ちゃんが変なこと言ったからだよ……。
「…ははっ…帰ろっか!」
逃げるようにスクバを取って千隼くんの前を通りすぎようとすると、力強く腕を捕まれる。
「なんで泣きそうな顔してんだよ」
「泣いてないっ」
「誰も泣いてるとは言ってねーよ」
「………っ」
なんで泣きそうなんだろう?
ただ、手紙を渡しただけなのに。
胸が痛いのはどうして?
「嫌なら手紙なんて受け取んなよ」
「でもっ…断れるわけないじゃん!ただの幼なじみなんだしっ……断わる理由がないもん……っ」
うつむいていると千隼くんが笑い出す。
驚いた私はびっくりして顔をあげた。
「へーただの幼なじみねー…バカかお前は。ほんと素直じゃないよな」
「…なんで笑っ……」
私の言葉を遮って、唇に柔らかいものが触れる。
目の前には千隼くんの顔。
状況を理解するのに時間がかかった。
「…え……んな…」
あまりにも突然のことすぎて、うまく喋れず口をパクパクさせていると千隼くんが意地悪く笑う。
「朝の仕返し」
「仕返しってッ……キッキス……ッ!!」
「お前キスぐらいで何赤くなってんの?」
顔を覗き込む千隼くんに赤面し、後ずさる。
うそ!?
私…千隼くんにキスされた?!
