渡されたピンクの便箋を見つめる。
「…あ…でっでも、こーゆーのって直接渡した方が…いいと思うよ…?」
笑顔を浮かべながら言うと、戸坂さんは顔を赤くして話し出す。
「でもぉ伊吹くん、あたしのこと知らないしー…いきなり手紙とか渡したら引かれちゃうよぉ」
私もたった今、あなたの組と名前知ったばかりなんだけど……?!
「崎川さんと、伊吹くんて幼なじみなんでしょ?だからお願いっ…」
うるうるした瞳で言う戸坂さんに何も言えなくなってしまう。
ど…どーする私…!!
ってい、いや別にどーもしなくても普通に渡せばいいんだよね!?
私と千隼くんはただの幼なじみなんだし…
それ以上でも…それ以下かも知れないけれど…
あれ?
なんか…わかんなくなってきた。
すっごく…モヤモヤする。
「優芽ー帰んぞ」
「ちっ千隼くん」
悩んでいると前のドアから千隼くんが入ってくる。
「じゃあよろしくねっ」
「あっ…ちょっ……」
千隼くんてばタイミング悪すぎだよっ!
どうしよう…手紙受け取っちゃった…
