~きみの涙色~



「仲村 しずくちゃんだよね!?」



分からない。どうして、目の前の人物が私に声をかけているのだろう。


「うっわ~、やっべー、まじやべー。」



やっぱり、分からない。人の顔をみたとたんヤバイを連呼された人の気になってほしい。



さっき、私が教室に戻ろうとしたのを阻止した人物…、それは、チャラ男。

なぜだろう、私は、チャラ男と面識があるわけでもなければギャルでもない。


まぁ、決して派手ではないが、周りからみたら私の顔はそんなにヤバイのだろうか。



「あの、俺、康平ってゆーんだっ!森 康平!しずくちゃん、マジ可愛い!うん、噂通りチョー可愛い!ね、よかったら俺とメアド交換しない?」



いきなり、まくし立てて話し出した森 康平。


意味が分からない。まず、なぜコイツと話さなければならないのか、そして私の噂とは何か。


チャラ男は、私の天敵。


苦手でしょうがない。


もう、ダメだ!こいつに、構ってる暇はない。早く、お弁当が待つ教室に戻らなければ!



「ごめんなさい。私、「私でよければ、交換しませんか!?」



私、教室に戻ります。と続いたであろう言葉を遮ったのは、森 康平が現れてから大人しくなった梨夏だった。



いきなり、入ってきた梨夏にビックリしている森 康平。


でも、もっと驚いてるのは私。



なんてったって、このチャラ男が梨夏の好きな人らしいから。