~きみの涙色~


──昼休み──


「しずくー!!お弁当食べよー♪」



「うん。」


毎日、梨夏がご飯に誘ってくれるおかげで昼休みは寂しくなく過ごしている。



「今日さー、あたしお弁当忘れちゃったから、しずく!!一緒に、購買行ってくれない?」



珍しい、梨夏はいつも見た目によらず自分でお弁当作ってくるのに…。



「珍しいね、梨夏が購買なんて。寝坊でもしたわけ?」



「ぁー、うん…そんなとこかな…。」



なんとも、微妙な返事。
不信感を抱いたが、まぁ、本人が言いたくないのならいっかと思い私は、購買に付き合うことにした。





一階にある、購買まで降りるのは意外と疲れる。
二年生は、三階だから長い廊下を歩き、階段を降りてくるのは、私には重労働にすぎない。



私が、若干息をきらしながら歩いていると、


突然、隣の梨夏が大声を出した。



「いたっ!!☆」


え?な、なにが?
いまいち状況がつかめない私を綺麗にスルーし、急に話し出した梨夏。



「しずく、いたよ!!いたのよ!!彼が!!」



はめられた…。な~んか、梨夏の様子がおかしいと思ったらこれだったのか…。


そう、弁当を忘れたふりして購買まで行き、好きな人を見たかったわけだ。


一人では、勇気がない梨夏は私を誘おうと思ったけど、直接付き合ってなんて言ったら私に断られるのわかってたから、騙したんだね。



「梨夏、私帰るから。」



「ちょっ、待ってしずく!!ごめん、騙したことは謝るから!!だから、もう少しだけ!!」



ね?なんて、可愛くお得意のお願いポーズしてもダメですよ、梨夏さん。



梨夏を無視して、足を進める私に誰かか声をかけてきた。