本屋 和正の優雅な読書

静かに、しかし速やかに。

和正は図書館内を歩く。

館内で本を探している者達に余計な不安を与えないように、走ったりはしない。

だが、彼の鋭敏な聴覚は確実に『それ』を捉えていた。

階段を上がり、図書館二階へ。

そこから一階の様子を見渡すと。

「!」

いた。

無数の本棚、ちょうど受付席の死角となる本棚の陰…!