幾ら喋れば中年親父でも、優花はれっきとした大学生である。

レポートを纏めなければならない事もあろう。

調べ物をしなければならない事もあり、彼女は図書館に出向いていた。

専門書を探しながら、静まり返った図書館の中を歩く。

靴音がやけに大きく響く図書館。

訪れている者は疎ら。

優花が見た限りでは、ほんの数える程度しかいない。

なので。

「あ」

彼女が本屋 和正の姿を見つけるのに、然程苦労はなかった。