「朝倉、朝倉!」


あたしの名前を呼びながら、萩くんがデンモクを持ってやってきた。



「朝倉、歌ってないよね?」


「うん、あたし聞いてる方が好きだから。」


笑いながら答える。



「ならいいけど……

朝倉、この曲好きだよね?」


萩くんがデンモクの曲を指差しながら言った。



「うん、好きだよ♪」


「じゃあいっしょに歌わない?

熊田のバラードは聞き飽きた。」



萩くんがうんざりしたような顔をする。


「いいよー!

でも……

あたしかなり下手だよ?」


あたしの言葉に、萩くんが笑った。