実際、あたしはカラオケに行っても歌わない。 どっちかと言うと聞き役に撤していた。 今日も、本で曲を探しながら、もっぱらおしゃべりをしていた。 さっきから見ていると、逆転負けしたというテニス部の熊田くんがマイクを放していない。 逆転負けがそうとう悔しかったのか、バラードの失恋曲を熱唱している。 あたしは思わず笑ってしまった。 周りを見てみると、みんな熊田くんのバラードにはうんざりしてきているようだった。 あたしは、それを見て再び笑った。