「じゃあな。」 あたしの家の前で駿が言う。 「うん、ありがと。」 駿の家はあたしの家よりも学校に近い。 だから、ほんとならとっくに別れている。 でも、部活のあとは遅くなっているせいか、いっしょに帰るときはいつも気を使って家まで送ってくれる。 玄関から駿の後ろ姿をながめる。 どんどん遠ざかっていく。 一瞬、自分だけ取り残された気分になった。