そんな私にも少しの楽しみくらいはある



毎朝、花束を家に届けてくれる彼

白いワイシャツを着た、彼




私は彼の名を知らないし

帽子で顔がよく見えないし

なぜ毎朝花束を届けるのか、分からない


とにかく私は、彼のことをよく知らない


知っているのは、彼の声だけ



知らないから、「知りたい」と思うんだ


私はコーヒーを注ぎながら、
新聞を読んでいた



いつもと大して変わらない毎日

淀んだ空

冷たい空気



その1つ1つが虚しく、
そしてどこか空虚なものに見える