キミの風を感じて


「加島」


そのとき背後から声がした。


振り向くと長身の男の人が加島くんのことを見ている。


学生服の襟元にある組章の色から、3年生の先輩だとわかった。




「福本さん」


「ちょっといいか? お前に話がある。部活のときだとみんながいて話せないから」


陸上部の先輩かな? しっかりとした話し方をする落ち着いた感じの人だった。


「はい」


加島くんは一歩踏み出し、その福本という人に正面から向かい合う。




「余裕だな」


まず初めに福本さんはわたしのほうにちらりと目をやりそう言った。