キミの風を感じて


「あんまり前に傾けると、転んじゃうだろ?」


その手を押しながら、支えるようにわたしの胸の下あたりをもう一方の手で押さえ、間近で顔をのぞき込む。




「キャアッ」


ドキッとして恥ずかしくって、思わず彼の手を振り払い、向こうへ一歩飛びのいた。


「えっ」


驚く加島くん。




「ひ、ゴ、ゴメン。恥ずかしかったの。体触られて、顔近くて……」


カァッと顔面が熱くなる。


「か、体……?」


ハ、しまった。不審すぎる。




「ちがうの。自意識過剰でヘンなの、わたし」


あわてて言い訳をしたけれど、加島くんは


「ゴメン俺、今、胸……さわった、か」


なんて自分の手に視線を落としてトンチンカンなことをつぶやいた。