でも……。


大キライ、なんて言ったらバチが当たるかな?
と、ふと思った。




確かに言葉少なでとっつきにくいし、無愛想な態度にもあの言いっぷりにも、かなりムカつくときはあるんだけれど、


それにもまして、加島くんはとっても丁寧に走り方を教えてくれる。




『責任とってなんとかする』と言った通りに、本気でなんとかしようと思ってくれてるみたい。


相手はこんなに運動音痴なわたしなのに、
まったく無駄になるかもしれないのに、


ちゃんと真面目に向き合ってくれている。



それだけはわかるから……。




それに毎日のあの朝練は、加島くんには日課の自主トレタイムだったらしいんだ。


もともとしていた早朝トレーニングの時間を、今はわたしのために費やしちゃっている。




いいのかな……?





退屈な授業を聞きながら、となりを走る加島くんの背が、思ったよりも高かったことを思い出していた。