てゆーか、もともともつれたところにボタンが絡まってしまったのか、焦るしドキドキするしで、むしろどんどん絡まっていくばかり。
「貸してみ、俺がとってやる」
あー、この言い方……。
口数が少ないくせに、ちょっと俺様チックな男の子っぽい言い方をするんだ、加島くんて。
そんなことを考えながら、長い指が代わって髪を解いていくのを眺めていた。
ドキドキして乱れそうになる息をひそめながら。
ふと、彼の指が動きをとめる……。
ん?
顔をあげて、至近距離で目が合った。
黒い真っ直ぐな瞳……。
「高梨と……つきあってる?」
加島くんの声が低くささやいた。
つ、つきあってないよ!
声が出なくて、ただブンブンと首を横に振る。
そうしたら「何で?」と彼が訊いた。
何でって……。
高梨くんとのことを誤解されたのは知っていたのに、ちゃんと説明しなかったのは自分なのに
加島くんにそんなふうに思われてることが悲しくて、じわっと涙が浮かんだ。



