キミの風を感じて


「メールが来たんだ。『今までありがとう』って」


ひとり言のように俺は高梨に告げた。




「は? それで終わり?」


「うん」


「お前はそれでいいの?」


「うん」


「もういらねーの? 紗百のこと」


うん、とは言えなかった。でも……




「あの子がお前を選んだんだから、こっちは引くしかないだろ」


ゴネて苦しめたくはない。


俺がそう言うと高梨は「へぇ」と大げさに驚いてみせた。




「紗百は、俺を選んだんだ?」


「……ちがうのか?」


思わず訊いたら、あっさりかわされた。




「さぁね」


「俺に別れを切り出すってことは、そーゆーことだろ?」


「そんなこと、紗百に直接訊けばいい」


ム……。




だいたい俺はなんでこいつにこんな打ち明け話をしているんだ。