「まー、立ち話もなんだし」
とか言って脇のベンチにもう座っている。
渋々俺もやつのとなりに腰を下ろした。
「つーか、紗百とどーなってんの?」
長い足を大きく開いてベンチに座り、高梨はプシュッとコーラを開ける。
は? 知らねーのかよ。
「何でお前に言う必要があんの?」
ムカついて突っかかると、やつは平然と言った。
「俺も当事者だから」
ム……。
「別れたらしいって聞いたけど、マジか?」
そう高梨は訊き直してきた。
渋々2センチくらいうなずくと、やつは「ふーん」と俺を見る。
「どっちから?」
どっちから……?
俺が《ゴメン》ってメールして――、
彼女から《今までありがとう》と返ってきた。
立木さんのことだからそれはたぶん泣きながら、長時間悩んで出した結論なわけで……
だから、やっと送られてきた彼女の気持ちを、俺は黙って受け止めようと思ったんだ。
もうあの子が悩まなくてもいいように。



