キミの風を感じて


「加島」


そのまま校舎を出て部室へ向かう途中、誰かに呼びとめられた。




「ちょっと顔貸してくんない?」


長身で、パーマのロン毛。


途中まで開いた学生服の間からやけにポップな柄のシャツがのぞいている。




「誰?」


すげー不機嫌ににらみつけてやった。


「あ、俺、高梨俊介」


知ってるよ、バーロー。




「何の用?」


ムスッと訊く。


「紗百の件だよ。わかってんだろ、バカ」


逆に言われた。クソッ。





「コーラおごるわ」


返事も聞かずに高梨はすぐそこの自販機まで歩き出す。


「俺、いらねーから」


ポケットから出した小銭を、もう投入口に入れようとしている高梨に俺は言った。


「今から部活だし」


「あー、確かに」


そうつぶやくと、やつは自分の分だけ缶コーラを買った。