サッと、先に目をそらしたのは立木さんのほうだった。
そりゃそうだ。
気まずい思い出だろーし……。
教室で目が合うといつもあの子はニコッと笑ってくれて、俺はそれがすげーうれしかったってことを思い出していた。
あの笑顔は、もう俺へは向けられないんだな……。
そんな当たり前の現実に、かなりヘコむ。
バーカ。
だったらあんなあっさり別れずに、もう少し粘ればよかったんだ。
いや……
そんなことをしても彼女を苦しめるだけだろ?
結局、思いはいつもそこで停止する。
立木さんをチラ見するクセが抜けなくて、休み時間はなるべく机に突っ伏して、死体と化して過ごした。



