キミの風を感じて


夕飯のあと、その宮本が部屋に乱入してきた。


狭い部屋のほとんどを占めるようにベッドが平行に並んでいて、その斉木のほうのベッドに、やつはドカッと腰を下ろした。


俺らもそれぞれ自分のベッドに腰をかけ、3人でひざを突き合わせる形となる。




「俺、お前と話してみたかったんだ、加島」


座るなり、宮本はそう言った。




なるほど、声がでかい。


「実はうちの母親が加島のファンだ」


と続いた。



「は?」


「前にテレビで見て以来、気に入っちゃってて、今や息子のことより応援してるかもよ」




「ウソつけ」


「ホントホント。合宿で会えたら、普段もあんなに無口なのか見て来てねって頼まれたし」


「プ」と斉木が吹き出した。




「は? バカにしてんだろ」


「してない、してない。だけどお前の無愛想っぷりは半端ねーぞ」