キミの風を感じて


靴を履き替え、部屋割りのプリントを片手に廊下を歩いていると、後ろからポンと肩を叩かれた。


「よろしくな、加島。お前と相部屋でマジ助かったわ」


振り向くと、俺より少しひょろ長い斉木が親しげに笑っている。




「あー、うん」


よろしく、とポソッと言う。




「冬と春と過去2回いつも宮本と同じ部屋やったからさー、今日もそうかと思って、ちょっとブルーになっとったし」


大阪から来た斉木が軽やかにそう言った。




「ヤなやつなのか? 宮本って」


あんまり普通にしゃべってくるから、俺も思わずそう聞き返していた。


「いや、悪いやつやないねんけど、めっちゃしゃべるねん。声もでかいし、めっちゃうるさい」


めっちゃを連発して斉木が言う。


「へぇー」




宮本は確か北の方の出身だっけ。


そう言えばテレビで特集されたときも一番元気に受け答えしてたっけな。




「その点加島は無口そうやし、お互いにマイペースでやれそうやな」


なんて言われた。