キミの風を感じて


常連のやつらはともかく、俺みたいな初参加組は顔見知りも少なくて、それぞれ淡々と自分の練習をこなしていく。


まずは様子見ってとこか。




その点女子はスゴイ。

いきなり仲良くなって、休憩時間になるとキャッキャと盛り上がっているからな。




『おい、あれだろ? 加島って』


『どーせあんな記録マグレだろーに。インターハイも出らんねーくせに、よく来れたもんだよな』




聞えよがしな声に振り向くと、地区大会で顔を合わせる強豪校のやつらが、こっちをにらんでいた。




そいつらだけじゃない。


トラックを走ると、ライバル心むき出しでお手並み拝見してくれてる視線にさらされているのを感じる。




どーってことない。


そう思ってるつもりなのに、腕なんか妙に力が入ってるみたいだ。フォームが乱れる。




バカ。がんばれ、俺。


何しに来たんだ。