キミの風を感じて


『俺めんどくさいとか、思ってないから』


『へへ……気にしてないよ』


そう答える立木さんの声は、それでもいつもとは少しちがって聞こえる。




『ゴメン』



『なんで謝るの? カッコよかったよ、加島くん。わたし録画しちゃったもんね~。もー何回でも見ちゃうんだから』


なんて立木さんは言った。




『はぁ? やめろよ、それ。恥ずかしいし』


あわてる俺がおかしかったのか、クスクスと笑いだした彼女は、なんか全然いつも通りで……。


気にしすぎかな、俺。




『電話ありがと。すぐに電話かけてくれるなんて、加島くんにしては上出来だよ』


なんて笑う声。


『それならいいんだけど』




少し話して、テレビでの俺の無愛想ぶりを二人で笑って、それから俺は電話を切った。