『あれはさぁ……』 『ん?』 『立木さんがすげー可愛かったから……つい』 なんて加島くんは言った。 『……ウソはいいよ』 うれしくて恥ずかしくて、ドキドキする。 だけど早くしゃべらないと、加島くんは『じゃ』って電話を切っちゃう人だからなー。 『あ、あの、明日応援に行っていい? 大会で走るんでしょ?』 思い切って訊いてみた。 『いや、明日は立木さん来なくていいよ』 『え、どうして?』 『そう決めてるんだ』 やけにキッパリと加島くんは言った。