「へぇー、あの2人デキてるんだ?」
となりで高梨くんが間延びした声を出した。
「えっ、そうなの?」
思わず横を見あげる。
「じゃねーの? いい雰囲気じゃん。プリンス告られてたりして」
高梨くんがそううなずいたとき、グランドに背を向けてこっちへ歩き出していた本荘さんを、加島くんが呼び止めた。
何を言ったのかはわからなかったけど、彼のほうから声をかけたっていうことはわかった。
呼ばれた本荘さんが加島くんのもとへ駆け戻り、
加島くんはあわてて自分のケータイをとりに行き……。
「ほーほー、アドレス交換ね」
高梨くんが茶化すように解説をする。
2人でケータイを操作したあと、加島くんは画面に残されたたぶん本荘さんの番号を、ジッと見つめていたんだよ。



