キミの風を感じて


「元気なくないよ」


「ないよ」


「元気……だし……」


そう言ってるうちに、返事が生返事になる。


というのもグランドの隅に加島くんの姿を発見したから。




校門にさしかかる少し手前に、校舎とグランドを隔てるように体育倉庫や各運動部の部室が並んでいて


その脇で加島くんが本荘さんと話していたんだ。




向かい合って立つ2人の横顔がよく見える。


あ……。
加島くん笑ってる。




本荘さんと何かしゃべりながら、加島くんは照れくさそうに、でもなんだかうれしそうに笑っていた。


なんの話をしているんだろう……?




ほかの女子とあんなに親しそうに話す彼を見るのは初めてで、


いや、照れくさそうなその笑顔自体が初めてだった。




あんな顔して笑いかけられたことないもん、わたし。