キミの風を感じて


そっか、高梨くんもカラオケ行くんだった。


前を歩くユメちゃんと坂田くんは、まだ楽しそうに2人の世界を満喫中。




「なんで元気ないの?」


高梨くんにもう一度そう訊かれた。


「え、元気だよ……?」


じぃっと、顔を見られる。




「昨日はそんな顔してなかっただろ? 昼休みには他のやつらもみんな暗かったし」


「ああ、あれは加島くんがケガしたと思って、みんなで落ち込んでたから。

てか高梨くん、なんでそんなこと知ってんの?」



そう見あげると彼はニンマリと微笑んだ。




「紗百のこと、見てたから」




「……ヒマなの?」


キョトンと訊くと、ハハッと笑う。




「まぁね~。けど、プリンス大丈夫だったんだろ?」


「うん」


「だったらなんでまだ元気ないのさ」



高梨くんが訊いた。