そうして加島くんは保健室に運ばれて、
1限目の終わりにやってきた担任の先生から、彼が病院へ向かったことを知らされた。
そのまま加島くんはなかなか戻って来なくて……。
昼休み、わたしたちの最後の練習は、気まずく沈んだ雰囲気の中で行われたんだ。
加島くんがケガを負ったかもしれないことや、明日のリレーを欠場するかもしれないことが、みんなの口数を少なくさせていた。
練習が終わる頃加島くんはやっと戻ってきて、何ごともなかったような顔をして、みんなに囲まれていたんだ。
『なんともないから』って言ってくれたんだ――。
「何かあったの?」
そんなことを思い出しながら歩いていたら、不意に真横で声がした。
「へ?」
長身の高梨くんが不思議そうにわたしの顔をのぞいている。
「あれ? 高梨くん」
「あれ、じゃないよ。さっきからずっととなり歩いてんだけど」



