当日、彼の運転する車の助手席に乗って、流れる景色を車窓から見ていた。
運転席でハンドルを握る彼を少年のように若がえらせた、その地が見たくなった。
車内では、五年前に二人でよく聞いていたCDがかかっていた。
今日、この場で聞くまで忘れていた曲だった。
そんな曲を彼が覚えていたと言うことに驚いたと同時に、あの頃の彼はわたしが思っていたより、わたしへの思いは強いものだったんじゃないかと、そう思えて仕方がなかった。
休憩場所で差し出された飲み物も、わたしがあの頃よく口にしていた物だった。
彼は……わたしの好みをよく覚えていた。
もう……五年も経っているのに。
通り過ぎる風景を見ながら、少しだけ涙がこぼれて来た。

