こんな思いをするのなら、あの時、結婚していれば良かったと、そんな泣きごとだけは言いたくなかったし、認めたくなかった。
好きだったのかさえ分からない相手だったから、こんな窮地に立たされようが、思い出すまいと心に誓っていたのに……
同じ香りを纏うタモツに抱きしめられ、あの男を思い出すなんて……
忘れたい。
何もかも忘れたい。
タモツはきっと、わたしが入り込んだことの無い危険な世界に導いてくれる。
今夜は色取り取りの魅惑を織り交ぜた、この胸に抱かれて……
例え、それが自分を破滅させることになったとしても……

