バーテンダー



「珠代~。素敵だったよ」


「ほんと。素敵な演奏で、店内の人みんな聞きいってたよ」


由美子と保奈美がやたらと珠代を褒める。


「……」


仮にだ。


仮に、珠代があのバーテンダーと良い仲だったとしても、この二人が、ここまで珠代を褒め称えるだろうか?


十年以上付き合ってきた仲だ。


今まで、こんなこと、一度もなかった。


「……」


これはもしや、余裕から生まれてくる物では無いだろうか?


珠代に素敵な彼が出来たとしても、褒め称えることの出来る余裕が、この二人にはあるのではないだろうか?


「……」


余裕ってなによ。


余裕って……


彼が作ったカクテルさえ褒め称えることの出来る余裕ってなによ。


大学入学当初からニ十キロ太った由美子が、余裕の笑みを浮かべている