お母さんが少し不安げな顔をしながら
僕とお父さんを交互に見やる。
そして、少しの沈黙を置いた後、
小さく息を吸い込み口を開いた。
「真、お父さんの家が特別なのは知ってるよな?」
そう言われ、小さく頷く。
知ってるも何も、物心ついた時から
ずっと言い聞かされてきたことだから、
今更だと思った。
お父さんの家は、少し特別らしい。
というのは、お父さんの家…黒田家は、
昔からずっと黒田家に生まれた長男が
神様を守って生きてきているらしい。
………だからって、
今更何の話しをするのだろうか。
「詳しい話しをするけど…。神様を守っていくのは、黒田家の長男…一人息子の真なんだ。それは分かるね?真はこれから先、どれだけのことがあったとしても神様を1番に考えて、神様をお守りしなきゃならない。
………真は、悪鬼っていうのは知ってるかい?」
「悪鬼……?」
聞いたこともない言葉に、首を傾げる。
お母さんは、未だに不安げな顔をしていて俯いてしまっている。
