俺は布団から出てドアにかけよる。
『あ…あのねっ!そのまま聞いてっ!!!』
「顔見せろ」
今めちゃくちゃ抱きしめたい。
咲良が目の前にいるのに見えないなんて苦痛でしかない。
『あのね…会うと私も帰りたくなくなるから、我慢するの…』
「は?どういうことだよ。」
戻ってきたんじゃねえのかよ?
『あのね。竜。私みんなのこと大好きなの。みんな優しくて面白くて、あったかくて。私こんなにあったかい気持ちになれたのが嬉しくて。だからね、何も言わないでお別れしようと思ったの……みんなにかなしい気持ちになって欲しくなかったの……急にいなくなってごめんなさい。』
ドア越しでも咲良が泣いていることがわかる。
「でも、お前は家に帰れて幸せだろ?いくら家出って言ったってちょっとした親子喧嘩とかだろ?」

