…………何か言えと?
直己に視線を送る。
─────な、ま、え、き、け!
直己の口がゆっくりと動いた。
「あー……あんた、名前は?」
『………お…男の人に名前なんて…
………教えられません!!』
はぁ!?
これが命の恩人に対する態度か!?
「と、とにかく!
君、家は?送っていくからさ!」
家…と言う単語を聞いた瞬間。
『い……嫌っ!!家嫌!!
………ないと………逃げないと……!』
女は俺らを交互に見合わせて、一礼をした。
『……た、助けてくれてありがとうございました…私は行かないといけないんで…』
と言ってリビングのドアを開けようとする。
「おい!待てよ!!」
俺のでかい声に気づいたのか、帰る足が早かった。
「待てよ!!」
俺らも追いかける。

