【完】猫、拾いました。








「今日は隣で寝る。」



  
「はぁっ!?」





だって…こんな咲良、ほっとけないから。




ゴソゴソっと、咲良の横に移動する。





『…ふふっ……れーくん…の……においだ…』





俺が入ったとたん、寄り添ってきた咲良。

 



「…はぁっ…なんでこんなんに惚れたかな…」




まぁ、咲良だから…か。







「ならやめろよ。ライバルが減って好都合だしな。」






壁に寄りかかってる執事を睨んどいた。







「黙れ。さっさとどっかいけよ。」







「うっせぇ。俺がいなくなったら蓮が何するかわからねぇからな。」






………たしかに。






『…れーくん、ぎゅっ…てして?』




ん?





「咲良?お前、起きてたの?」






俺が尋ねると、横に首を振る。






『今起きたの。寒くて……』







あぁ。そういうことね。








「ほら咲良おいで?」







俺の腕の中にすっぽり収まる。





こいつ、ちっせぇ。



けど咲良はめちゃめちゃ温かくて。


 
俺はその温もりをすがるようにして強く抱きしめた。






『ん…あったかいね……おやすみ…』






「おやすみ、咲良。」





俺は執事がいるのも忘れ、ゆっくりと意識を手放した。





「…んだよ。俺は無視か。」



青山の独り言は静かに消えた。