「…いや俺はなにもしてねぇよ。」
俺はただ見てただけだ…。
あの時と同じ………。
「あ。そういえば。俺の部屋は?」
「あー…今日はここで寝ろだと。俺は咲良がいなくならないよう、監視ですよ、監視。」
「布団もってこいよ、床で寝る。」
くそ山は持ってきてたらしく、顎でドアを示す。
「当たり前。持ってきてある。」
布団を敷こうと思って咲良から離れる。
─────ガシッ。
「は?」
「え?」
みごとに腕が掴まれてる。
……咲良に。
「さ…咲良…?」
『……いで……行かないで……』
その声はとても弱くて。
目からは少し涙がでてる。
「………俺はここにいるよ。」
………やめた。
「くそ山。布団いらねぇ。」
「は?」

