オレンジ



「変わったのはあたしだけ、だよね」


呟きを公園に残して、あたしはあの空間に入った。


滑り台の中の空洞は、小さい頃に入ったよりも小さくなっていた。


あたしが、大きくなったからなんだけど。



接する壁の冷たさも、小さい空間の包まれているような温かさもいっしょだった。


前と変わらず、ここは安心できる場所だった。




抱きまくら代わりに、とあたしはかばんを抱きかかえた。


冷たい壁によりかかり、すべての音を消すために寝ようと思う。




と、思ったのに、となりにおいてある携帯が音を鳴らした。


着信はしょーへーから。


しばらくは出てやんない。




「えーり」


「……」