まだ何もわかってなかった、子供だったころ。 何もわからないから、純粋に喜んだり悲しんだりできた。 今みたいな汚い感情はないから。 世の中を知っていって、今になった。 大人に、なっていくんだ。 「あたしたち、変わったよ…」 「んだの?俺はとくに変わってないけど」 「ん…」 大人になりたくない。 そう思うのはあたしだけ。 しょーへーといつまでもいっしょにいたいと思うのはあたしだけ。 ごまかすように、あたしは話を変えた。 「さ、早く買い物行こっ!」