オレンジ



顔を上げると、ねーちゃんはにこりと笑った。



「後悔しないように生きて。今は今しかないんだから」


「ねーちゃん……」





「あたしのアイスを買うついでに、えーりちゃんとこに行ってきたら~?」


「えーり」



えーり、って久しぶりに呼んだ気がする。




「早く行きなさいってば。アイス食べたいし、1人になりたいし」


「行ってくる…」



俺はサイフも持たずに外に飛び出した。




後悔しないためには、とりあえず進むしかない。


今しかできないことをやったほうが後悔しないと思う。



それでもだめなら……

それでもだめなら、ほんとうにどうしようもないけど。





でも、俺は後悔したくない。


えーりのことで後悔なんかしたくない。