オレンジ



「えーり、次からは気をつける」



俺は2人に背を向けた。


2人がなにかを話していた言葉に重ねて、強く言った。


いつもの笑顔を向けて、前に進んだ。



誤解されたら、困る。


えーりのために、俺のために。


これでいいじゃないか。




□■□■




教室に入って、待ち構えていたのは、俺の友達。


どうやらこっそり、さっきの俺らを覗き見していたらしい。




「ふぬーー!またあいつ、えーりちゃんに近づいてぇぇ。
しょーへ、なんで止めねんだよぉ!!」


「誰と話してようが、えーりの自由じゃん?」


「そうだけど。またうわさがぁっ…!!」


「なにそれ」


「あの男とえーりちゃんのうわさだよぅ。……付き合ってるんじゃないかって」