「修二、俺より先に見てるし!むかつくー」

そっと、見上げた修二くんは、無表情。
いつものことなのに、それが無性に悲しく思えた。

「あ、かき氷!買って来るねー」
人混みに消えて行く啓太くんを見ながら、修二くんが言った。
「あいつはバカだな」
首を傾げる私を真面目な顔で見下ろす。
「こんな人混みで…」

派手な原色のシロップ。
淡い色の私の浴衣にかかれば、大変なことになりそうだ。

「せっかく似合っているのに。俺だったら…」

最後まで言わずに、あっちを向いた真っ赤な耳。

私は嬉しくなって、くすくす笑った。