「何あれ。こっわー」
その声に振り向くと、奈帆(ナホ)ちゃんが眉間にシワを寄せて立っていた。
「あっ奈帆ちゃん!おはよー」
「おはよ」
奈帆ちゃんは少し前にできた友達だ。
未来が瑠樹と付き合って、一緒にいるのが辛くなったとき、奈帆ちゃんが声をかけてくれた。
あまり話したことはなかったけれど、私を見ていて私の気持ちに気づいたらしい。
奈帆ちゃんはクールだし毒舌だけど、いっつも「辛くない?」って私のこと心配してくれる。
その優しさが心地よくて、最近はずっと一緒にいる。
「万里花、それより今の。あれだけで今原怒ってるの?」
今原とは未来の名字だ。
私は苦笑いして答える。
「そうみたい。…でも、それだけ好きなんだよ。やきもちだもん。…私が悪いの」
「万里花…」
奈帆ちゃんが労るような目で私を見たので、私は微笑んでそれに応えた。
大丈夫だよ。
そろそろ慣れてきたもの…。
