大切な今。
今日は今日しかない。
そう気づかせてくれたのは
みんなだった。
大好きな大好きなみんなだった。

10月6日。
「いっけーいけいけいけいけ桃ブロ‼」
活気のある応援の声が校庭全体に響き渡る。
空は青く晴れ渡っていて、見える限り、白い雲はひとつもない。
そして、気持ちの良いそよ風が優しく吹いた。

ー1年3組はそのそよ風のようにふわふわと優しく、時に強い、なくてはならない存在なのだ。

私が1番最初に出た競技の2人3脚がピストルの大きな音の合図でスタートした。
私のクラスのトップバッターの2人が風を切るように速く、カーブなど何事にもせずにこちらへ向かってきた。
段々2人の姿が大きくなる。
…そしてバトンであるタスキを受け取った。

ーずざぁぁぁぁあっ
『痛っ…』
私はそんな効果音と共にスタート地点から転び込んだのだ。
けれど、仲間に支えられ傷の痛みなんか物ともせず全力で走った。

私たち2人は最後まで走り切り、次の走者の3人4脚に愛のぎっしり込もったタスキをしっかりと渡した。

私たちが決審について行っていると、終了のピストルの音が私の耳に入ってきた。

結果はともかく、みんなの絆をタスキで繋ぐことに成功した。
そのことが私はとても嬉しかった。

けれど、もっと大切なことに気付くのはこれからだった。